薩摩といえば、薩摩という名前がついたサツマイモが有名ですが、サツマイモの原産地は薩摩ではありません。
サツマイモの原産地は中南米といわれています。サツマイモはアメリカからヨーロッパ、さらにインドや東南アジアへと伝わり、16世紀後半には中国や琉球に伝わりました。
薩摩本土に伝わったのは宝永2年(1705)といわれています。サツマイモが薩摩に広がった背景については2つの説があります。
ひとつは、今回訪問した指宿市で船乗りをしていた前田利右衛門が琉球から唐イモを持ち帰り、自ら栽培方法を考え、薩摩に広めたという説。指宿市の特光神社は前田利右衛門を祭神とし、境内には「さつまいも発祥の地」の碑が立っています。
もう一つは島津藩が琉球出兵の際に将兵が持ち帰り、島津藩主が家老に栽培させたという説です。
サツマイモは享保17年(1732)の大飢饉の時に、蘭学者で「イモ先生」と呼ばれた青木昆陽によって、薩摩から全国へと広まりました。サツマイモは飢饉の時に日本の多くの人々の命を救った貴重な食材でした。